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特集　女性カメラマン　横井千恵さん

2010年2月11日

普通のインコより一回り大きい体に、まん丸オレンジほっぺ。黄色いトサカも愛らしいオカメインコです。おとなしい性格で、よく人に慣れ、飼いやすいことから、最近人気を集めています。
そんなオカメインコの日常を写真や文章で絵本のように綴ったのが、こちらの一冊。松戸市に住む女性カメラマン横井千恵さんの初めての写真集として、去年１０月に出版されました。
自分の思いを言葉で伝えることはできなくても、一瞬一瞬の表情や動きで語りかけてくるオカメインコのあずきさんときなこさん。
犬や猫の写真集が数多くある中、オカメインコ初の写真集としてマスコミにも取り上げられ、無名の新人が撮った写真集では異例の増刷になったそうです。無我夢中で、あっという間だったと話す、横井さん。ここまで、全てが順調ではなかったといいます。
大好きな動物の写真を、見るだけでなく、自分で撮りたい…。その思い一つでＯＬを辞め、写真業界に飛び込んだ横井さん。
三重県から上京後は、自分のやりたい写真・撮りたい写真だけではなく、グルメガイドの食べ物撮影、取材、編集、さらには生活費のため全く違ったジャンルの仕事もこなしたといいます。
そんな理想と現実とのギャップを感じながらも、時間を見つけてはペットのオカメインコを撮影。夢に向かってシャッターをきり続けました。
「インコの写真集なんて、これまでにないから」「本当に売れるの？」と当初、出版社の反応は鈍く、５０社近くから断られたそうです。
そうした中、おととしに応募したインターネットの出版オーディションで最終審査まで進み、ある出版社から声がかかります。
一万枚以上も撮りためた作品から選んだ、念願の初の写真集。そこには、横井さんならではの視点でとらえた一瞬に、２羽への愛情あふれるコメントが添えられています。
「鳥を飼っていなくても、その写真に癒され、鳥が好きになりました…」。読者からのうれしい反響も寄せられ、なかなかの滑り出しとなった「夢みるオカメインコ」。
その一方で、自分自身で作品を売り込み、仕事をつかんでいくフリーカメラマンという立場に不安を感じることもあるといいます。
そんな時、ファインダーを覗けば、全てを忘れてしまうそうです。風景を撮りに出かけた河川敷でも、犬を連れた人に出会えば、すぐに声をかけ、その瞬間を逃しません。ようやく時間に余裕ができた今だからこそ、改めて写真の楽しさや奥深さを実感したといいます。
初の写真集の出版は、あくまでも一つの通過点。ここから、さらに新しいステージを目指して…。横井千恵さんの動物カメラマンとしての道は、今始まったばかりです。