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オナガについて
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 オナガから引用
オナガ(尾長、学名:Cyanopica cyana)はスズメ目カラス科に分類される鳥類の一種である。
分布
ユーラシア大陸の東西両端の2つの離れた地域に分かれて分布する留鳥である。 分布の一方はロシア東部、中国東部、日本など東アジアで、もう一方はイベリア半島の一部である。いずれの地域においても局所的、飛び地状に生息域が存在する。 近年の遺伝子分析によれば、2つの地域個体群は種レベルで区別されることを示した。またイベリア半島内では化石も発見されており、両個体群の分化が数万年昔にまでさかのぼることがわかっており、イベリア半島の個体群は別種 Cyanopica cooki となる可能性が示唆されている。この事実が明らかになるまで、本種の特異な隔離分布は長らく謎とされており、15世紀の南蛮交易船が日本からイベリア半島へ持ち帰ったという珍説まであった。 なお、日本では分布を狭めており、1970年代までは本州全土および九州の一部で観察されたが、1980年代以降西日本で繁殖は確認されておらず、留鳥として姿を見ることはなくなった。現在は本州の石川県以東、神奈川県以北で観察されるのみとなっている。わずか10年足らずで西日本の個体群が姿を消した原因はまったくわかっていない。ただし、九州の個体群については近年になって分布を拡大し続けているカササギとの競争に破れたという説がある。このように分布域を狭めてはいるが、東日本に残された群の個体数は減少どころか増加の傾向にある。
形態
全長は 34-39cm で、キジバトより一回り大きい程度。ただし尾羽が 20-23cm と長く、頭と体の大きさはムクドリ大。 名前の由来は、尾羽が長いことによる。 頭は黒く、背は淡い灰褐色、翼と尾は青灰色、のどから腹は灰白色で、尾の先が白い。雌雄同色である。 なお、イベリア半島に分布する亜種は尾羽の先の白斑がない。
生態
平地から低山地の比較的明るい森林や竹林を好み、森林に近接する市街地などでも見られる。 食性は雑食で、昆虫や果実、種子などを常食する。 樹上に枯れ枝などを使って皿状の巣を作り、1腹6-9個の卵を産む。抱卵期間は17-20日で、雌が抱卵する。雛は約18日で巣立ちする。カッコウの托卵先になることがある。 いつも高いところにおり、群れで行動し、カラスの仲間とあって学習能力は高い。警戒心が強く、また敵に対するモビング(疑攻撃)行動も活発で、巣が襲われた場合などは集団で防衛にあたる。 鳴き声は「ギューイギュイギュイ」「ゲー、ギー」などと汚い大声がよく聞かれるが、これは警戒音声であり、繁殖期のつがい同士などでは「チューイ、ピューイ、チュルチュルチュル」など愛らしい声で鳴き交わす様子も観察される。